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2018年9月 1日

Z7は買い?

ニコンは、8月23日にフルサイズミラーレスカメラ「Z7」と「Z6]を正式発表し、かなり話題になっていますが・・・表向き予約が殺到しているようで(いつものニコンの販売戦略で単に発売日に間に合う供給台数が少ないだけ?)、すでに「お届け遅延のお詫び」というアナウンスまでしている・・・仕様を見る限り、少なくともカワセミをメインに撮影している者にとっては、D850やD5を超えるメリットは読み取れないですね。D850はすでに35万円前後まで価格が下がっているし・・・デジカメが発売後1年経ってもこの程度しか下がっていないというのは、まだ売れている証拠・・・Z7の実勢価格40万円前後(+マウントアダプター代)という価格設定で、D850のように爆発的に売れることはないでしょう。Zマウントのレンズも、Fマウントに比べると相当割高なので、購入を躊躇するユーザーが多いでしょう。Z7は、より高画質を求める人(ニコンが「最高画質」と言っているし、サンプル画像を見る限り特に高感度に優れているので)、カメラをできるだけ軽量化したい人、風景とか花をよく撮影する人、動画をよく撮る人などには、間違いなく魅力的なカメラだと思いますが、以下の比較点だけで、D850の方がカワセミ撮影に適しているかが分かります、というかZ7はカワセミ撮影には「不適」ですね。新しい物が好きなので、買うことも考えてみましたが、大人しく来年には出てくるであろうD6を待つことにしました。

1)有効画素数4575万画素、フルサイズCMOSセンサーは同じだが、Z7は最新の画像処理エンジン「EXPEED 6」搭載なので、高感度ノイズ処理には期待できるかもしれない、が、D850は最高感度のISO25600でも、適正露出で撮ればノイズは許容範囲なのでZ7の優位性はあまり感じられない。「EXPEED 6」の優位性は、恐らく動画撮影時に発揮される? 逆に画像処理速度自体が遅いのか、バッファ不足なのか、RAWの14bitで8コマ/秒しか撮れない点が気になる。D850は9コマ/秒が可能。

2)ファインダー視野率は約100%で同じだが、Z7の「電子ビューファインダー」よりD850の「光学ファインダー」の方が、より優れ、自然な見え方で有利。

3)モニターは3.2インチで同じだが、210万ドットのZ7より、238万ドットのD850の方が明らかに精細で見やすい。

4)AFセンサーは、Z7が90%をカバーするAFポイントが493点の「ハイブリッドAF」でピント合わせが優れている印象・・・しかし実際のAF速度はD5と同等のD850より遅く、カワセミのような動きが速くて小さな被写体を追従する能力は期待できない。カワセミの飛翔時の追従性はD850の方が上。

5)Z7のボディ内手振れ補正はメリットにはなるが、カワセミを手持ちで撮影することはないので、レンズに手ぶれ補正があれば、Z7の優位性はあまりない。

6)ミラーレスのZ7は、無音撮影が可能、機構ブレ(ミラーショック)がないので暗い時など遅いSSでも撮れる。D850もライブビューで無音撮影を実現できる・・・実際の使い勝手も悪くない。

7)バッテリーの持ちが決定的な違いで、撮影可能コマ数はD850が1コマ撮影モード時1840コマ、連続撮影モード時4030コマなのに対し、Z7はファインダーのみ使用時にたったの330コマ、何と1/5以下、1/15以下! しかもD850はマルチパワーバッテリーパックを装着すれば、3300/7700コマ可能。全く比較にならないほどの大きすぎる差、このバッテリーの持ちの悪さだけでも、飛翔を連写で撮ることが常のカワセミ撮影にはZ7は適さないと断言できる。1個のバッテリーで300コマ前後だと、毎日のカワセミ撮影時も予備バッテリーを4、5個必要、海外遠征時なら10個くらい持参しないと・・・やっぱりこの仕様、ちょっと信じられない、あり得ない!

8)連続撮影可能コマ数が、Z7はjpegでも最大25コマ、D850はjpegで200コマ可能なので、この点でも比較にならない。Z7は、飛翔撮影には使えない!

9)Z7の最大の問題点と言えるのが高速連写性能で、高速連続撮影約9コマ/秒(RAW14bitだと8コマ/秒)と謳っているのは、AFの追従だけ、動体撮影には必須のAF/AE追従ではたったの5.5コマ/秒(RAW14bitだと5コマ/秒)と信じられない遅さ、これは飛翔写真を撮ることがほぼ不可能なレベルで本当に論外!

10)メモリーカードは、有効画素数4575万画素でファイルサイズが大きいので、デュアルスロットのD850に比べてシングルスロットのZ7では物足りない。メモリーカードが撮影時に不都合を発生する可能性がある以上、ミラーレスカメラの最上位機種でシングルスロットはあり得ない!

11)Z7でマウントアダプターを使えばFマウントレンズを使用することは可能だが、例えばヨンニッパやロクヨンをアダプター付きで使用した場合、機能、性能が劣る可能性がある(ニコンは同等と言っているが)。しかもZマウントの超望遠レンズの登場は、早くても5年、10年後、しかもZ7と同時発売のレンズ価格から想定すると、異常に高額になることは必至・・・例えばヨンニッパは200万円以上! 現状レンズが揃わないZマウントのカメラを買うこと自体、時期尚早なのかも。

12)重さはZ7が約675gで、約1005gのD850よりかなり軽い、大きさも当然、Z7の方が小さい。

13)Z7のカメラ本体が軽いというのはメリットになるが、同時に超望遠や高性能の重いレンズを装着すると、バランスが悪いというデメリットにもなる。例えば400mm f/2.8は3800g、いわゆる「大三元レンズ」70-200mm f/2.8、24-70mm f/2.8、14-24mm f/2.8はそれぞで1540g、1070g、980gで、すべてZ7より重い。

14)動画機能は、Z7の方が優れているが、動画を撮らない者(私)にとって性能の向上は無意味、無価値。

Nikon Z7

投稿者 eisvogel : 2018年9月 1日 23:59

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